フラホ(大漁旗)のこと



島の正月と聞いて、まず思い出されるのが、大漁旗の波。港にぎっしりと繋がれた漁船や石船のマストに飾られた色とりどりのフラホが翻っている様は、ほんの少し前までは、島の正月の風物詩じゃったね。今では港の中は漁船の姿もなく、たまにスナメリが入ってくるような静かな海じゃが、ほんのこないだまでは、遅う帰ったら繋ぐにも入り場がのうて、ケンカになるほど船がひしめいちょった。その漁船が、正月休みにそなえて、山から若松と青竹まだ固いつぼみの梅の枝を持ち帰り、年末の吉日を選んで、マストの先に括りつける。その下に日の丸を、その下に船名の入ったフラホを結ぶ。正月の港には、その色とりどりのフラホがはためいて、そりゃあ見事じゃったねえ。

他にも、島を挙げての運動会やポテトマラソンには、フラホを飾って景気づけをした。小学生はフラホで縫って貰った法被で、運動会。ダンスや平家踊りを踊ったし、市の音楽祭にも出演したりもしたね。背中にちょうど、跳ねた鯛や、短冊が来るように、母親やばあちゃんに作って貰った法被姿の可愛いかった事。

フラホで布団も作っていたとも聞いた。なんて景気のいい。どんな夢が見られたじゃろうか。現代の若い人達はさぞや羨むと思うね。と、まあ、フラホを語ると、話は尽きんのじゃがね。それにつけても、正月の港に風にはためくフラホのさまをもう一度見たいと思うのは私一人じゃあないと思うがねえ。

(H29.1)