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島の芋

  • rainoshimaoz
  • 11月1日
  • 読了時間: 2分

更新日:3 日前


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瀬戸内の島は段々畑が頂上まで続き、保水性の乏しい山だった為、夏場はどこも水不足に泣いたものだった。風呂に入るのも遠慮するような日々の暮らしだったが、この水不足の渇いた大地は、サツマイモを甘く濃い味に育てた。

収穫すると、船に積んで本土まで売りに歩いた。みんな「あんたのところの芋でなけりゃあ、美味うない。また、来年も頼みます」と言われたものだと、隣のおばさんが懐かしそうに話していたものだ。

高齢化に猪が追い討ちをかけ、今では島でサツマイモを作っている人はごく少なくなってしまった。島と言えば芋、芋と言えば島と言われた美味しい芋の味も今は無い。ある人が「スーパーで見かけて、余りにも美味しそうで、思わず買ってしまったけど、これが芋臭くて美味しくなかった」と、嘆いていた。大体、売り物の芋は、きれいに洗って売ってある。昔から芋は洗ったらすぐ食べんとダメだと言っていた。それを知らないうちの娘も、きれいに洗ってある芋を買ってきて、「なんでこんなに芋の悪い匂いがするん」と言いながら、不味い(まずい)芋を半分私にくれたりする。

昔の芋には飽きて、また芋かと悪態をついていた自分を叱ってやりたい。あの頃は余った芋はカンピョウと言って、薄く切ってカラカラになるまで干して、焼酎の材料に売ったりしていた。多い家は筵(むしろ)を袋にした様なカマスに何個も出荷していた。芋は中々現金にはならなかったので、みんな助かったのではないだろうか。我が家は出せる程作ってなかったので、カンピョウといえば、皮を剥いて干したのを、カンピョウ餅にしてくれるものだった。うっすら甘いカンピョウ餅、手間がかかるのに文句も言わず、毎年作ってくれていた。今になっては私も作り方も知らない。こうして、折角の島の味も少しずつ無くしてしまう。折りがあればどなたかに教えを請いたい気もする。

そうそう、芋も色んな種類があるけど、アメリカって言う白い芋や、中が赤紫の小豆芋、農林何号とか、あったの覚えておられるだろうか。


(R4.11)


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