

こわやこわや
今よりも遥かに闇が濃かった頃。 その闇から滲み出るように、島のあちこちに人ならぬ者の物語があった。 例えば、『まんころ』ちょっとかわいい名前の握り拳位の火の玉の仲間。夜遅く暗い道をトボトボ歩いていると、フッと向こうに灯りが着いたと思ったら、それがコロコロ転がりながら近づいて...
2022年12月6日


昔日の訪問
人間生きていれば思いもかけない出会いもある。ある日仕事場で自転車を借りて出かけた兄を待っていると言う人と話していたらその人が「私、子供の頃に ここに住んでいたんですよ」と言う。そこで島出身の人だと思い「どの辺りの、苗字はなんですか」と聞くと、島の出ではなくお父さんが校長先生...
2022年11月22日


ハマグリ掘りの話
子供の頃は、どこの浜でもハマグリ(※)がよう出た。大人も子供も丸篭を下げて、ハマグリ掘りに励んだもんじゃった。 黒髪島に住んでいた頃は、太刀ノ浦から仙島手前のヒトの浜まで歩いて行った。ヒトは砂浜じゃから子供でも簡単に掘れる。出る端から丸篭に放たり込うで、貯まっていくのが面白...
2022年11月8日


島のもん
先日職場の客から、島の者という言葉を聞いて、はたと思った事。 ディスったかも知れんけど、それ位じゃあ島のもんにゃあ 応えりゃあせんよ。昔から島のもんを一段下に見て、町に住んで居るだけで偉そうにする人は飽きる位見てきたからね。島のもんはそこをヤレヤレと優しく見過ごしてきた。...
2022年10月25日


踊る阿呆に…
「踊りょう踊るならあ お寺のかど※1でー、」から始まるわが盆踊り。 初盆の人の遺影の前で、浴衣姿に団扇を持って、太鼓に合わせて手踊りをする。太鼓と口説きの調子が合うと、踊り易く「ヨイヨイヨイ、エーイエーイヨウイヤナ」の合いの手も熱をおび、踊り場は一気に盛り上がる。...
2022年10月11日


薄明るい夕暮れの空をねぐらへ帰るカラスの群れ
さっきまで夕陽に輝いていた海は暗くなり、漁船が一艘淡く白い航跡を残し港を出てゆく。足元で小さな波が、タプタプと唄う。 暑かった今日の終わり。島の家々に次々、明かりが灯る。その一つひとつが辛い一日の労働から解き放された安堵と誇りだ。父や母の帰りを待ちわびた子供達の辛抱の華だ。...
2022年9月27日
