

薄明るい夕暮れの空をねぐらへ帰るカラスの群れ
さっきまで夕陽に輝いていた海は暗くなり、漁船が一艘淡く白い航跡を残し港を出てゆく。足元で小さな波が、タプタプと唄う。 暑かった今日の終わり。島の家々に次々、明かりが灯る。その一つひとつが辛い一日の労働から解き放された安堵と誇りだ。父や母の帰りを待ちわびた子供達の辛抱の華だ。...
2022年9月27日


母から子へ ?
昔はよう、饅頭を炊いたよねと、このところ話す。島で言う饅頭は握り拳大のさんきらいの葉をしいて蒸した物で、食べるとほのかに炭酸の香りがして、年を取った今、それが母の顔や七日日の海を思い出させる。 昔、海の側に墓があった時代は、七日日には泳いで海から上がって、墓に手を合わせま...
2022年9月13日


Aちゃんの九死に一生物語
(Aちゃん、二十歳の頃を思い出しながら語る) うちはその頃は石船をせちょった。石船ちゅうのは、分かるかいね。石を運ぶ船で、両舷には棚もなんにもない船で、積荷の石の上に、大石ちゅう船のバランスを崩すための石が積んである。荷を崩す時は、その大石を片側へウェンチンで吊って船を傾け...
2022年8月30日


昔を残そうやぁ
昔はあれいね から始まる懐かしい話。すっかり忘れていた話や時には初めて聞く話など。馬島公民館の活動として、昔の生活を残すべく、聞き書きを始めてもう4、5年。支所に居られたR氏の薦めで始めた活動だった。その後支所に来られたK氏も応援して下さり。それを励みにどうにか続けている。...
2022年8月16日


雑草レクイエム
はるか昔、この島に人が初めて上陸した時、ここは見渡す限りの葛の原じゃったという。そこで島の人達は、葛原親王という桓武天皇の第三皇子を御祭神として祀ったのが、葛原神社の始まりと伝わっているね。 時は移り今に至るが、すっかり人口の減った島の景色は、彼(か)の頃に戻ったように葛が...
2022年8月2日


流れ寄るもの
名も知らぬ遠き島より流れ寄る椰子の実ひとつ。 家の前の海を眺めながらふと思い出した歌。馬島の東の方の水場と呼ぶ海岸は、外海に面しているからか、椰子の実も時折流れ寄っていた。これを持ち帰ったら、芽が出て大きな椰子の木にならんかしらんと思ったものだ。...
2022年7月19日
