
- 2月22日
島の子学校
出会いがあれば別れがあるように、始まりがあれば終わりの時は来るもんでね。我が島の学校がついに幕を閉じたね。覚悟はしていたものの、実際に明かりが消えた暗い校舎を見るにつけ、尚一層寂しさが募るちゃあね。 「菜の花の 小さき花壇に 溢るるや 子らの歌声...

- 2月8日
昔日のひとひら
公民館の引っ越しを控え、少しずつ片付けておこうと、古い書類などをめくっていたら、忘れていた色々な事柄が残っていて、ついつい見入ってしまう。たとえば殺鼠剤の申請や軒別の消毒の記録だったり。何よりその中に残る、今は亡き人達の名前。...

- 1月25日
せいたかばあの腰湯と見合せ丸
子やとの頃のある日、珍しい客が嬉しくて、おかばえかやして、客を困惑させ、見かねた母親が「お茶でも入れて来い」と言えば、まだおかばえかやしていた私は、父親の大きな湯飲み茶碗に、サービスとばかりなみなみと、それはもうなみなみと、持ち上げられない程お茶を注ぐ。客はそれを見て「まあ...

- 1月11日
フラホ(大漁旗)のこと
島の正月と聞いて、まず思い出されるのが、大漁旗の波。港にぎっしりと繋がれた漁船や石船のマストに飾られた色とりどりのフラホが翻っている様は、ほんの少し前までは、島の正月の風物詩じゃったね。今では港の中は漁船の姿もなく、たまにスナメリが入ってくるような静かな海じゃが、ほんのこな...

- 2021年12月28日
「ヤンマーのゆで卵」
この前テレビで、池の水を全部抜くちゅう番組をみて、その時使っていた、揚水ポンプをみて、どこかでみたようなと思うてね、つらつら考えるに、子供の頃だと思い当たった。麦の脱穀機のヤンマーじゃったんよ。 麦の脱穀は、仲間仕事で、近くの人が何軒かで寄り合ってやったもんじゃった。その時...

- 2021年12月14日
石屋の子やとらぁ
「オーイ、子らぁを家に入れえよ」と、父ちゃんの大声。母ちゃんは庭で遊びよる子やとを、急いでかき集め家の中の一番奥まった部屋に入れ、その上に覆い被さる。程なく、ドォーンと腹に響くような音がしたかと思うと、バシバシバリバリとけたたましい音が屋根で響く。...